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見切り千両 品はお金にすること 不良在庫とは?
売れない品がある = お金が寝ているってことだ。
「見切り千両」「品はお金にすること」「不良在庫とは?」
ぼくは大学の途中からアルバイトに行った鮮魚商で「魚屋さんってめっちゃ儲かるやん」と気づいてしまい(仕事のハードさは頭になかった^^)4回生は大学にはほとんど行かず、卒業してから魚屋をやろうやんけ!と決心し、当然やる気マンマンでバイトに取り組み、卒業後もっと修行しよう、それなら北の魚(関西と関東以北では並ぶ魚が徹底的に異なる)も知らなければと(当時の友人は皆知ってる当時のカノジョに思いきりフラれたのが大きいといえば大きい^^)ほな仙台に行こう。と職安で探してもらい、3年弱にすぎないけど、そりゃもう、朝イチの卸市場行きから閉店掃除まで時間もハードさもおそろしく働いていた。
平日/土曜は当然全シゴト、日曜だけの休みも1週間分の洗濯してたらあっという間に休日が終わり、楽しみと言えば住み込みアパート(3畳一間/通称タ○部屋 笑)の近くにあった寿司屋さんで、日曜の夜だけうまい寿司を思いっきり食べまくる。これのみを生き甲斐?の日々を過ごしていた。給料は使う時間がそもそもなく、寿司屋にしか使わない/使えないので今、思い出しても自分でびびる貯金額があった 笑
結局、魚屋さんやるのは辞めて自分の家業、衣料品屋に戻り、兄弟とともに家業を継ぐことになるのだが、この仙台の魚屋さん(仙台の方はわかると思うけど)駅前、旧エンドー裏の仙台朝市の一角、そのなかでの一番繁盛店に勤め、日々店頭で魚をさばきながらただひたすらに一生懸命売る。これがまた日々チャレンジとしか表現できない厳しくも楽しい?商売の日々だった。
たとえば鰹、春から南九州で始まり(初鰹)土佐、和歌山、6月頃から関東、8月〜9月に三陸沖北部まで進み、このへんから9月半ばくらいからの「戻り鰹」ようは、三陸が北上/南下地点となることで、たぶん最も漁期が長く、かつしっかり泳いできてることでマジメにうまい鮮度最高/極上鰹が水あげされる(もちろん土佐、高知も極上だけど)
このへんまでは鰹の話だけど、鮮魚関係の方ではアタリマエだが9月は特に台風シーズンでもあることで、日によって船が出て行く/港に帰る水あげ日がはっきりする。つまり水あげ量の大小が日によってものすごくはっきりする。平均にはならない。相手は自然であり魚なのだ。少ない日は少ない、多い日は多い、この差が尋常ではない。そこでなにが起こるか。
「旬」が起こる。これを旬の魚と言うのだ。ほんものの旬は、物理的な量が船、港、市場、トラック、全国各地の卸売り市場、これらすべてで大量の鰹があふれる。あふれるとどうなるか。その日に売れる=セリで必ず完売となる価格がつくのが卸市場、ようするに卸し価格が急にその日からどんと下がる。
このへん「旬」の概念には卸売り市場にすこしでも関わったことがある方と、そうでない方の認識にとても相違があるのだが、本当の旬の時期は(特に鮮魚では)卸段階での価格がどんと下がる。大量に入荷する=余りかねない=冷蔵庫、冷凍行きも満杯=ストックなどできない=価格が下がる=最高の鮮度=これが消費者様においても、最高の鮮度、味もバツグン=これが旬の魚である。高いから旬だなんて、入荷の初日だけと考えるべきだ。=これは正確な?通称ではハシリと言うはずだ。
うまい/安いの本当の旬の魚を売るときに、売る立場で大事なことは、値付けを間違えないことだ。旬の魚が市場に大量に入荷した、たとえばセリの価格が昨日の半額になった(参考までに半額以下になる、逆に昨日の3倍になるなんてことはごく普通のこと)、あなたの消費者様への売価はどうつけるか? 仕入れの量が同じなら売価を半額にしたらどちらも完売で売上も半分になる=ちなみにこれを商売ドヘタと言う。商人視点では、お安く売ればいいってものではない。
「今日が旬」と判断し、そのうえで卸価格が半額になったら、そして昨日の売価の半額で鮮度バツグン(くりかえすがこれが旬)の品が入手可能なら、少なくとも最低でも昨日の4倍仕入れる、そしてたとえば昨日の半額売価にして「いらっしゃーい」と売りまくる。鮮度バツグン、うまいに決まってる旬の魚が昨日の半額。「当然」売れまくる。しかしこれでも昨日の売上2倍にすぎない。商売ドヘタでなくてもまだヘタクソレベルだ。
正解は「余りまくるほど量を仕入れまくって売りまくる」「いや、ゼッタイに余るくらいに仕入れろ」これが商売上手な繁盛店と認識される魚屋。余ったらホントに捨てる気でありったけの資金で買いまくる。それこそ最後はいくらでもいいから、たとえ10円にしても必ず全部売れ。今日はこの品だけをなんとしても売り切ることにひたすら集中する。他の魚はなしでも構わない。なぜならお客様のニーズは「旬の魚を安く買えて最高に美味しくて家族みんなが必ず喜ぶはずだ」=売れない理由が存在しない。
ちなみに商人はお客様にゼッタイにタダで渡してはいけない、10円も必ずいただくことが大事だ。これらを毎日普通にやってるのが、特に漁場に近い都市の大手の魚屋だ。「タダで渡してはいけない」=この点において今の仕事、通販でも送料「無料」はぼくは否定的だ、無料で送るとお客様は送料はタダだ。の認識になる。つまり無料であたりまえと認識される、他社はどうでもいいけど^^
まわりくどいが、この仙台の魚屋でぼくは自分で商売やることを完全に見据え、自分のためにまさしく修行していた。だからこそ苦には全くならなかったし、今でも仙台に行く時は当時の御礼に必ずあいさつに行く。40年前/1980年頃で、ぼくが販売やらせてもらうひとつの売り台(氷を敷くのみの簡素な台)でどれだけヒマでも日に30万円売上=(参考までにこれで年商1億円を超える)、土曜日などで旬の品があれば普通で100万円、粗っぽい商売になる年末は×4くらいになる 同じようなタテ魚中心売り台が3台と他に活け魚店舗1店と冷凍物店舗1店 全部の売上はおして知るべし。本気で繁盛している魚屋さんの売上ってこういうレベルだ。儲からない理由が思いつかない。
そんなお客様対面の質素な氷ひきだけの売り台で、包丁を持ちご希望の方にはちゃんとさばきながら(産地に近いお客様のほとんどは実際の刺身スライスまでは言われない、いいとこ皮引きまでだ)売り台うしろ正面の自分のうしろにたとえば2入りの大きめ鰹を200箱/400尾とかどさっと積まれる。「岸本、今日これね」のみが指示だ。笑 そして大声を出し、魚をさばきまくりながら売りまくる。日々完売すること、させること。これのみが使命だ。
「岸本、今日これね」この指示には今に通じる、えげつないほどの商売の勉強になった。これを毎日毎日やってたらアホなぼくでも「魚が売れる相場感」「最高に売るためには一点突破」このふたつが身にしみて身になる。これを修行と言う。修行とは苦行ではない。なぜならぼくは「勉強になった」と心から思えている。これでいいのだ。
のちに家業衣料店に戻り、衣料販売の勉強しだした頃、ランチェスターなる理論を、さるコンサルさんから学び、「そうか。力を入れて売るべき品をまず決めるんだ」「品揃えなんでも多数なんて、ほんとの大手がとなりにできたらそれでアウトやん」「小型店でそれやったら全滅や」「強力単品主義」「極端に言えばアイテム数はひとつでOK」「品揃え数は少ない方が勝ちや」このへんの強烈な勉強になった。衣料店では「くつした」に注力、これを単品一番にしようと決め、くつしたの売上は3年で3倍になった。この経験は、通販に関わりだした1995年から、「オレ、Tシャツだけやるねん」とまず決めたことに通じる。そう、単品に強くなれば商売はやっていけるんだ。この意志は今でもまったく変わらない。変える必要をまったく感じない。自分のスタイルでいいのだ。
ランチェスター単品一番主義 一点突破 商売で生きていく道はこれしかないのだ。これだけはわかっているのさ。^^
まわりくどいが(その2)笑 「見切り千両」「品はお金にすること」 「売り切ること」だけが自分の毎日の使命である。となると、そりゃ毎日うまくいくわけでもない。余らしそうな急に雨が降る日もある。その時にどうするか?
見切る=目の前の品を損してでも(卸以下にしても)売り切る。このへんが鮮魚のおもしろいところだけど、旬の週間、日は明日もたぶん旬である(2年くらいやればだいたいわかる)
つまり、明日に持ち越すべき理由は無い。まったく無い。今日に今日の相場で完売しなければならない。そもそも、当店には(必要な冷凍品など以外の)鮮魚用冷蔵庫は存在しないのだ。おそろしい店だ。 笑 なんとしても売らねばならない。
さらにこの魚屋さんのえげつないと言うか、すごいところは、売場が(売り台が)複数あり、それで包丁持てるものみんな競争である。ぼくはどれだけ必死でやっても、常に先輩の売上の半分売上だった。売る品同じ、売価も朝イチは同じ、人員同じ、となりで売ってるので立地も同じ、旬の日は当然むちゃに忙しい、それでどんだけやっても、となりの半分の売上にしかならない。なんでなのか? これを日々考える。しかしまた今日も負ける 笑
結局、負け犬のまま家業に戻るのだが、「見切り千両」「品はお金にすること」このふたつを身にしみこませ身につけたことで、ここでようやく(衣料における)「不良在庫とは?」の自分の考えになる。
「不良在庫」とはドケチな店主が、売れもしないのに=だから不良在庫というんだが。安くせずさらに鮮度が落ちた品を「損する」<アホか? と大事に持っておくことを言う。
お客様には店主のアホさとドケチが見えている=そのような古いだけの品、骨董品でもあるまいしタダでもいらない。1週間前の「鮮魚」なんて存在しない 笑 その点、衣料は幸せな商売だ。廃棄にもお金がいるが不良在庫と認定するならお金を払ってでも捨てるべきだ。○ベノマスクとかも同じだ(これは税金だがこれも捨てるべきだ)
できるだけ早く 「品はお金にする」「品の回転=お金の回転を早める」 そしてまた新しい品をつくっていくのだ。鮮度こそ魚だけでなく衣料でも、もっともたいせつなことだ。
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